条件の演劇祭

vol.1-Kabuki

条件の演劇祭は2023年に初めて開催される、若手演劇団体が自身の手で主催する演劇祭です。本年は人間の条件が主催し、以後の継続的開催を見込んでいます。「フェスティバルは演劇という営みの諸条件を前景化する場である」というテーゼのもと、複数の団体が集まりその差異と同質性の中から私たちの演劇という営みを規定するものを探ります。その制作過程を開き、共有することで、演劇というメディアを参加者とともに見つめ、COVID-19以降の分断された世界から立ち上がる若い演劇シーンを刺激します。



初開催となる本年のテーマは「Kabuki」です。今や伝統芸能としての格式を身に着けた歌舞伎も、かつては河原者たちによる命がけの戯れでした。それが町人に受け入れられ、支えられ、今日に至るまで受け継がれてきています。歌舞伎は現代演劇の源流でありながら、そのうちの多くの演劇の前提となっている口語的リアルの追求とは全く異なることをエネルギッシュに追求しています。その、旧くそれゆえに新しい演劇の在り方に触発されることは現代演劇を相対化し、今日の演劇の条件を前景化する契機になるはずです。本年の条件の演劇祭では「傾いてゆく」歌舞伎の精神性をベースに、新たな「傾き」を探求します。



【参加作品情報】

○人間の条件『四谷心中』

作品概要:
近松門左衛門の『曾根崎心中』は、人に騙されて夜を儚んだ男女が心中を遂げる、もっとも有名な「心中もの」の作品です。一方で、四世鶴屋南北による『東海道四谷怪談』は、かつて人を殺してまで妻を手に入れた男が心移りから彼女を捨て、それを怨まれて呪い殺される話です。

 『四谷心中』では、「生活は汚れである」という世界観のもとにこの二つの作品をドッキングします。心中に失敗した男女の愛が落ち延びて生活するうちに萎びてゆくドラマを、古語による台詞と非日常的・非生活的な身体で描きます。

 生活に近い言葉や身体ではなく、コンフリクトを抱えた俳優の身体にこそドラマは宿る。生活に汚れを、汚れに怨念を、怨念に美しさを。

 人間の条件の代表作にして初のレパートリーです。

---------

○抗原劇場『熊野ヒッチハイク・ガイド』

作品概要:
許嫁である照手姫の親族に殺された小栗は閻魔の裁きにより現生に舞い戻ります。餓鬼阿弥となった小栗が元の姿に戻るためには、熊野の温泉で湯治をしなければいけません。瀕死の小栗を発見した僧侶は彼を熊野に送り届けるため、小栗を車に乗せ「この車を引いた者には供養がある」と書いた札を貼り付けます。そして小栗は相模から熊野まで、ヒッチハイクで辿り着くのです。

小栗判官と照手姫の伝説は時代と共に、様々に形を変えながら上演されてきました。「熊野ヒッチハイク・ガイド」では「小栗もの」と、アメリカ映画の伝統「ロードムービー」が出会います。その道行は果たしてハートウォーミングな成長譚か、見るも無惨なサイコスリラーか。

---------

○ほしぷろ『魅惑乃鬼』

作品概要:
歌舞伎ってアイドルなのでは?と素朴な疑問が浮かんだところから創作が始まりました。

今回ほしぷろは岡本綺堂の「鬼坊主清吉」を取り上げます。この作品は執筆された当時、公演稽古中に関東大震災に見舞われてしまい、その上演がお蔵入りになってしまったという、いわく付きの作品です。鬼に魅了された清吉の行く末知らずの人生譚を、何かに魅了されて生きている私たち自身とを重ね合わせて作品へと昇華させていきます。

鬼は果たしてアイドル(偶像)なのか、それとも現実のもの(実像)なのか。

清吉が鬼に抱いているものは、憧憬なのか、それとも羨望なのか。

----------

○ぺぺぺの会『太陽と鉄と毛抜』

作品紹介:
人はなぜ体を鍛えるのか。まずは、そのことについて深く考える必要があるだろう。体を鍛えて筋肉量を増やしていくことに、いったい何の意味があるというのだろう? 何が私たちを筋トレへと、駆り立てるのだろう? 踊る毛抜と踊るダンベル。シャル・ウィー・ダンス? 程なくして私たちも踊りだす。ワン・ツー・スリー、リズムに合わせて。歌舞伎十八番のひとつ『毛抜』と、三島由紀夫の肉体論が、今、響きあう!

期間 2023/07/07 (金)~2023/07/15 (土)
劇場 北千住BUoY
出演
脚本
演出
サイト

https://festival-condition.studio.site/

※正式な公式情報は公式サイトでご確認ください。

スタッフ 人間の条件 『四谷心中』

構成・演出:ZR

原案:鶴屋南北『東海道四谷怪談』、近松門左衛門『曾根崎心中』

出演:黒木喬 田中賢志郎 樽見啓 野田恵梨香 村井萌



抗原劇場『熊野ヒッチハイク・ガイド』

作・演出:山田カイル

原案:『當世流小栗判官』

出演:大谷莉々、塗塀一海



ぺぺぺの会 『太陽と鉄と毛抜』

作・演出:宮澤大和

原案:『毛抜』

出演:石塚晴日、佐藤鈴奈、熊野美幸

ボディビルダー:宮澤大和



ほしぷろ 『魅惑乃鬼』

構成・演出:星善之

原案:岡本綺堂『鬼坊主清吉』

出演:平井光子、麗乃、宮悠介、星善之

衣装:XU WENFEI



企画クレジット

制作委員会:ZR 山田カイル 星善之 石塚晴日 黒木喬 

事務局:石塚晴日 佐藤鈴奈

広報:村井萌 谷陽歩

当日運営:吉次匠生(QoiQoi)

舞台監督:塩澤剛史(合同会社士言堂)

照明:中山愛弓(LICHT-ER)

音響プラン:tomo takashima

音響オペレーション:渡辺ミリ

宣伝美術:渋木耀太(DINARYworks)

ファシリテーター:下沢杏奈

HP:野田恵梨香

主催:合同会社人間の条件

共催:ほしぷろ 抗原劇場 ぺぺぺの会

協力:有楽町アートアーバニズムYAU 一般社団法人ベンチ

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
その他注意事項

北千住BUoY(東京都)

期間 2023/07/07 (金)~2023/07/15 (土)
タイム
テーブル
7月7日(金) 19:00A

7月8日(土) 14:00B★/19:00A

7月9日(日) 14:00A★/19:00B

7月10日(月) 19:00B

7月11日(火) 19:00A

7月12日(水) 19:00B

7月13日(木) 19:00A

7月14日(金) 19:00B

7月15日(土) 11:00A★/16:00B



各ステにつき60分以内の作品を2団体が上演。幕間に30分の休憩時間あり。



A 人間の条件 抗原劇場

B ぺぺぺの会 ほしぷろ



※★付きの回は終演後に観客との交流(幕の内カフェ)を行います。

 受付開始・開場はともに開演の30分前
劇場 北千住BUoY
料金 1,500円 ~ 6,000円
・一般 3,800円

・U25 3,200円

・A・Bセット券6,000円

――予約システムから、ご都合の良いA・Bプロをそれぞれご予約ください。こちらでA・Bプロ両方の予約が確認できたお客様につきましては、当日の受付にて6000円との差額を返金致します。

※返金例 一般券の場合1600円、U25の場合400円

――なお、一般券またはU25券を組み合わせたご購入のみがセット券の対象となります。幕見券を組み合わせてのご購入は対象となりません。

・幕見 2,800円

――各回のうち1団体のみ見られるチケット。後半の団体の幕見をされる場合は、上記開演時間の60~90分後の間(19時の回であれば20時から20時半)までにご来場ください。

【配信チケット】

・通しチケット 2,500円

・各団体チケット 1500円

――公演を収録・編集し、配信します。1つのカメラによる固定撮影・整音済みの映像をお届けします。ご購入可能期間は7/28-8/12で、ご購入後30日間視聴可能です。
チケット取扱

powered byCoRich舞台芸術!